沈みかけた夕日が私たちを照らす。






まるで少女漫画の一コマみたいだ。












さてこの状況。




どうしたものか。




今私の腕は谷岡宗平に捕まれていてお互い向き合っている。




身長差はあるものの、勇人以外の男の人とこんなに接近したことはなく、戸惑いが隠せない。








「…チクワお前少し可愛くなった?」








私の顔を覗くなり谷岡宗平は言った。



 



「え…?」







意外な発言に思わず口が開く。





“可愛くなった?”





その言葉が頭の中をこだまする。


 


えーっとどういう意味だっけ。




全然頭が回らない。








「その方がいい」








唖然とした私にそう言い、谷岡宗平は腕を放した。







「じゃあまたな、チクワ」







その方がいい?





もしかして、私は誉められている?





依然として、谷岡宗平の言葉を理解できない。






ただただ、去っていく谷岡宗平の後ろ姿を見つめるしかできなかった。