【 明日香 】



 あれから、数時間が経過していた。
 朝の出来事だった、いつもと同じように家から行ったが、予想外の出来事だった。
 どこの誰だかわからない人に助けられて正直……


 「ドキドキなんですけど~!」


 いつも一緒にいる桜木薫と、八舞椿に、語っていた。

 薫は、穏やかで誰にでも優しい子。さらに可愛くてモテる。

 椿は、ツンデレで、言ってることと、思っていることが違う。

 二人の面白さはそこにある。
 私の取り柄は元気。
 

 「ねぇねぇ。どんな人だと思う?彼」

 「あははっ。もう彼って呼んでるんだ!?」

 「確かに、まだ会ってもないんだしさ」

 「これから会うの~」 


 椿がお腹を抱えて爆笑してる。
 ちょっと泣きそうかも。


 「会える保証がどこにあるって言うの?」

 薫の一言で大ダメージ。
 こうなったら、早退して病院行こうかな?

 「ねぇ、二人ともこう言うのはどうかな?」

 
 私の作戦を二人に教えたら、完全に呆れてる。
 ヤバい。盛り上がってきた~。
 とりあえずは、説得して二人を仲間にした。
 

 『いざ、実行の時!』


 今の時間は体育!
 チャンスはここだ。

 「先生。体調が悪くなったんで保健室行ってきます」


 
 返事を聞かずに、速攻で飛び出して外まで走った。



      ~病院付近~

 えぇ~と。
 どこだろうここ。
 建物が多くて何があるのかさっぱりわからないよ。
 あの大きい建物がそうかな?
 距離的に、3kmはありそう。

 「どどどうしよう。ここまで来たら行くしかない!」

 歩いていくこと3分……
 ようやく着いたところは、タクシー乗り場

 「これなら楽ちんだ!」

 興奮していると、ニコニコした顔の運転手と目があった。

 「お嬢ちゃんは、なんで病院行くのにそんなに嬉しがってるの?」

 「えぇ、実はですね……」

 大体の話を伝え納得してくれた。
 こんな話をしていたら目的の地点に着いたと教えてくれた。
 なんて親切な人なんだろう。

 「ありがとうございました」

 お金を払い、緊張した顔つきで病院に入って行った。
 キョロキョロしていると、カウンターのお姉さんが

 「初めてですか?」

 と、優しく尋ねてきた。
 なんてきれいな人なんだろう。

 「はい……実は、涼也と言う方の部屋の番号教えて頂きたいんですが」 

 あっ、しまった。
 これじゃあただの変態じゃん!?

 「えぇと身内の方ですか?」

 やっぱりそう来たぁ~!
 おっと、喜んでしまった。
 ここは冷静に……

 「はいっ!身内です!」
 「では、電話番号とお名前の方をお書きください」

 書き慣れてないから難しいな。
 案内されたところはカーテンで閉めっきりのところだった。

 「涼也さん。起きてますか?」

 小声で聞いた。
 ドキドキして、口からなにかでそう。