ロマンスがありあまる

「君の声を聞きたくなったから電話をしたって言ったら、君は怒る?」

そう言った専務に、私の心臓がドキッ…と鳴った。

最初は嫌いだったはずだ。

でも、どうして今は嫌いだと思えなくなっているのだろう?

「…怒らないです」

私は呟くように、返事をした。

「君は何をしているんだ?」

そう聞いてきた専務に、
「実家に帰っています」

私は答えた。

「へえ、そうなんだ」

そう返事をした専務に、
「専務は、何をしているんですか?」

私は質問をした。

「僕は家にいるけど」

「…1人、ですよね?」

「1人に決まっているじゃないか」

そりゃ、そうか。

てっきり家族水入らずの時間を過ごしているのかなと思ったら、1人で家にいるのか。