ロマンスがありあまる

私に婚約者ができたと知ったら、父はどんな顔をするのだろうか?

彼氏だったらともかく、婚約者である。

正直なことを言うと、家に彼氏を連れてきたことなんてなかったんだよね…。

つきあっていた人がいると言えばいるけれど、家に連れてくる機会がなくて関係が終わってしまったのである。

「ねえ、お父さん」

私が話しかけると、父はテレビからこちらに視線を向けた。

「私に婚約者…と言うか、彼氏ができると嬉しい?」

そう聞いた私に、
「何だ、できたのか。

まあ、楓子もいい年齢だからそうか」

父は少し驚いたけれど、特に何でもないと言った様子で返事をした。

「いや、もしもだから。

もしも私に婚約者と言うものができたら、お父さんは嬉しい?」

私は首を横に振ると、父にもう1度聞いた。