ロマンスがありあまる

蹴飛ばされそうって…。

「そんな人ばかりじゃないと思いますよ」

そう言い返した私に、
「でも好きじゃないんだよね」

専務は答えた。

「専務って…」

私は話を切り出した。

「本当に、結婚したいと思っているんですか?」

そう言った私に、
「何でそんなことを口に出すんだ?」

専務は聞き返してきた。

「婚約者に選ばれたのが私と言うのがどうしても納得できなくて…」

「前にも言っただろ、最初に専務室のドアを開けて入ってきたのが君だったと」

「…納得できないです」

「どうしてだ?」

「…なんと言うか、言い訳として私を利用されているみたいで」

お姉さんを見て自分も変わろうと思ったと言ったけど、それのために利用されている気がする。