◼高校時代

4月 高校入学。結局当初の志望校であった高校に無事入学。
中学時代の私を知る人が1人もいない。

とりあえず、友達作りからだ。

まず、クラブはそのままバスケ部に入った。
帰宅部でも良かったのだが、バスケは好きだったので続けたかった。
バスケ部でまた会えるかもとは全く思っていなかった。期待もしていなかった。

高校は 色々な中学から集まってくる。
だから楽しい。

隣のクラスにT中出身の子がいると聞いた。
T中出身の子はその子だけで女の子だった。
クラスが違うので、すぐには声を掛けなかった。

半年も過ぎる頃には学校にも慣れ、他のクラスの子とも話が出来るようになった。
隣のクラスのバスケ部の子を介し、T中出身のその女の子と話す事が出来た。
名前は七瀬さん。眼鏡をかけ真面目そうな子だった。

「七瀬さんは、T中でしょ? 的場健一君て知ってる?」

「知ってるよ! 幼なじみだし。」

(;゜∇゜)?エッ? 今何て?‥‥

「幼なじみ?」

「うん。家も近くだし、」

うそお~~っ! 幼なじみって、どんな確率よ? そんな事ある?ちょっと待って‥‥

A中は8クラスあったから、1クラス40人としても同級生は320人。
そのなかで 幼なじみなんて呼べる子は1人か2人。
確率でいうと、0.5% 。
そんな人が隣のクラスに?なんというラッキー‼

「えっ、えっつ、ホントに? 私、的場君のファンなんだけど」と興奮ぎみに彼女に訴えた。
七瀬さんは、
「えーっ、あんな男のどこがいいの?」と。

そりゃ、あなたは小さい頃から見ててるから感じないのかも知れないけど、イケメンよ!

「何言ってるの?的場君は有名人で女の子のファン めちゃくちゃ多いんだよ。」

「そうなの?ふぅん。」

オイオイ!
まぁ、七瀬さんが好きでなくて良かった。
彼女が派手な可愛い子ちゃんでなくて良かった。ましてや彼女だったなんて言われなくてとホッとしてしまった。
私は悪い奴だ。

こうして幼なじみの彼女から少しずつ情報をゲットしていた。
いつか合コンをしてくれとも頼んでいたが、そういうタイプでない彼女には頼んでも無駄だった。
それにしても偶然の繋がりだ。

10月 文化祭シーズン
東高校に進学したバスケ部の友人 ナオコに誘われて 東高の文化祭に行くことになった。
ナオコに会うのは久しぶりだった。
「文乃元気ぃ~」
変わらないナオコに中学時代を思いだした。
なぜ、ナオコが久しぶりに私を誘ってくれたのか? すぐにわかった。

ナオコの隣には見覚えのある男子がいた。
「もしかして その人・・・T中の・・・・」

「そう、粕谷君だよ!!」

「えーーーーつ!!」

粕谷君。彼はT中学のバスケ部だった子だ。もちろんあのスター軍団の中の一人。
ナオコは中学時代この粕谷君がお気に入りだった。
その粕谷君と同じ高校にいて笑って話している。


なんて羨ましいぃぃぃ。


やっぱり私も大江高校に行けば良かった(TT) そしたらこんな風に・・・
妄想だけが膨らんだ。
ナオコは私が健一君の大ファンだった事を粕谷君に話していた。

「あいつはモテてたからなー」
そんな事は百も承知だ。

そんなこんなで私は健一君に一番近しいであろう友人、粕谷君とお知り合いになれた。
的場健一包囲網は着々と敷かれていた。
・・・と思っていた。



しかし、健一君とはその後は情報だけで、会えることもなく 1年が過ぎて行った。
彼の事も忘れかけていた。