誰かがどこかで救われる


大好きな友達と話をしていると
時間が経つのが早い早い

もう8時を過ぎている
連絡したとはいえ
これは……絶対お母さん怒ってるかも。

扉の外では杏珠のお父さんが乱暴に物音を立ててるし
帰ろうかな。

「杏珠……あのね……」

「スナック菓子じゃお腹空くよね。ピザでもとろうか?」

「いいのいいの!もう遅いから、続きはまた今度にしようか?明日でもいいよ」

「それならどこかに食べに行く?」

杏珠は強気で私にそう言った。

どこかに食べに行く?
えっ?
こんな時間に?ふたりで?

比較的マジメな家庭に育ったのかな私
遅い時間に塾とか習い事をやってないから、きっとボケてるのかもしれないけれど、この時間から中学生が外に食べに行くって……どうなのかな?

私が黙ると
杏珠も気まずそうに黙ってる。

「えーっと……トイレ貸してね」

「うん。場所わかる?」

「洗面所の隣だよね。わかるわかる大丈夫」

私は笑って杏珠の部屋を出てから、笑顔を消してタメ息をする。

杏珠と話すのは楽しい。
この時間は楽しい。
杏珠が好きだし、久し振りの嬉しい時間。

でも……なんか……うん……。