しばらく離れていた私達なので
いきなりそんな事を言われて驚く私。

「お願い」
必死な顔でそう言うので

「何?何をすればいいの?」って真剣に聞いたら

「まっすぐ家に来てほしいの」
杏珠は早口でそう言った。

家に?杏珠の家に?
これから?
もう遅いけど

こんな杏珠の顔は初めてで
断るなんてできなかった。

「いいよ」
私がそう返事をした。

「本当に?ありがとう」

「うん。杏珠の家に行ったら、杏珠のスマホ貸してね」

うちの学校はスマホ・タブレット持ち込み禁止で、隠れて持って行ってる子は多いけど、見つかったら保護者に直接連絡行くシステムなので、我が家はお母さんがうるさいから家に置いてきていた。ほらね、こーゆー時にスマホがあれば便利なんだよ。

「うん。なんでも貸す」
杏珠は嬉しそうに私に言う。
とっても可愛らしい笑顔だった。

その笑顔と久し振りに杏珠と会話ができるのが嬉しくて、私はうかれていたけれど。

その数時間後
あんなに怖い思いをするなんて

思ってもいなかった。