「悠貴が好きだよ」
本当なら
わくわくする言葉なのに
私達は授業をサボり
こんな冷たい床の上
こんな雨降り
こんな静かな暗い廊下で話をしていて
内容と風景が一致しないから
私の頭の混乱する。
「じゃ……どうして?」
私が聞くと杏珠は応えず
また自分で壁を作ってしまう。
お互い
ずっとずっと
ずーっと何も言わず
雨の音だけを聞いていたら
廊下の奥から教頭先生らしき人影が現れたので、杏珠の手を引っ張って私は慌てて逃げ出した。
杏珠の冷たい手が私の心も冷たくさせる。
なんだか
よくわかんない
わかんなくて
泣きたくなる。