「幼稚園からあんな感じで、優しい王子様だったよ」

「そうなんだ」
想像できる
幼稚園児のミニ中原君
絶対可愛かったろうな。

「心愛は悠貴が好きだったの?」

「うん。でも、中原君は杏珠の事がまだ好きみたいだよ……って、ヤバい」

あっ!
私……約束やぶっちゃった。

「どうしたの心愛?」

「内緒の話って……約束したの忘れてた」

「今さらだよ」

「そうだね」

顔を見合わせて笑った。

「杏珠はどうなの?中原君の事はどう思うの?」

「私はね……」

小さな声がもっと小さくなる。
だから私はしっかり耳を澄まし
杏珠の言葉を待つけれど

先の言葉が出てこない。


雨がまた強くなる。