中原君は私の顔を見下ろして優しく微笑む
いつもの王子様の顔だった。
「ありがとう。でも大丈夫。心愛ちゃんに秘密の話を打ち明けたら、気持ちが楽になった。ありがとう」
中原君はそう言って
スッと歩いてショッピングモールの奥へ進み、私の視界から遠ざかる。
私はなんだか疲れてしまい
並んでいるベンチにストンと座り
キティちゃんのポップコーン販売機とにらめっこ。
できたてのポップコーンはいかが?……って、中原君にすすめたらよかったかな。
中原君が杏珠を好きで
杏珠は断った。
あの中原君を断るなんて
贅沢だよ杏珠。
他の人達にバレたら、いじめられるよ。
でも杏珠はいじめられない
ひとりでも強いオーラがでてる。
いじめられるのは私みたいなタイプだね。
杏珠は強くて綺麗で優しくて
とってもいい子。
中原君は杏珠が好き
明日から
どんな顔で杏珠と会えばいいのかな
胸が苦しいよ。
キティちゃんとにらめっこして
私は負けて
涙をその場でポロポロ流していた。



