薄暗い空に一瞬
線香花火のジリジリッとした、針金みたいな光が射さり一年生が叫んでいた。

「天気が悪いから解散。寄り道禁止だ」
顧問の先生がそう言い
私達はざわつきながらも楽器を片付けて解散。

「心愛せんぱーい。雨が落ちつくまで一緒にお話しましょう」
心細そうな後輩にそう言われて
こっそり数人で音楽室に残り話をしていると
雨も小雨になってきたので本当に解散。

いつも一緒に帰る子達が部活を休み
今日はぼっち帰宅。

雨降りにぼっちも寂しいけれど
しかたない。

廊下の窓から外を覗くと
雨は強くもなく弱くもなく
ただひたすら単調にずーっと降り続いていた。

早く帰ろう。

開けっぱなしの生徒玄関に向かうと
中原君が立っていた。

薄暗い玄関から雨の香りがする外へ
インスタに上げたいぐらい
四角いフレームに広がる生徒玄関に佇む、中原君は絵になっていた。

モノクロで撮影したら
とっても絵になる。

見惚れる私の視線を感じたのか
中原君は振り向いて私を見て微笑む。

「部活終わったの?」
優しい声が私に聞き
私はちょっと緊張して「うん」って返事した。