ちらほらと遠くから上級生の視線を感じた。
心地悪さを平子君も感じたのか
「行こう」って私に言い
私は「うん」って答えて、先を歩く平子君から2歩ほど下がって歩き出す。
人気者の平子君に告白された地味な私。
そしてそれを断るなんて
もしかしたら
身の程知らずで
他の人達にバレたら大ひんしゅくかも
特に
実花にバレたらと思うとゾッとする。
ここに来る途中の廊下で、杏珠とすれ違ったのを思い出す。
杏珠にどう説明しよう。
私と平子君の姿を見て『あっ!』って感じで、ちょっと嬉しそうな顔をしてたっけ。
杏珠なら告白されても断るのに慣れてるから、相手に嫌な気持ちをさせないんだろうな。
私は慣れてないから
平子君を嫌な気持ちにさせたかもしれない。
前を歩く平子君の背中を見る。
いつも斜め前で見る背中は、スッと伸びている。
「やっぱり……背が伸びたよ平子君」
ポソッと独り言をつぶやくと
しっかり平子君はキャッチしていて
「ホント?ホントにホント?」
満面の笑みを浮かべて振り返る。



