誰か好きな人

頭の中でふんわりと思い浮かべるのは、優しい中原君の顔。

学校の王子様
モテモテで雲の上の人。

私は黙ってうつむいて
時間ばかりが過ぎてしまう。

「いるならいいよ。悪かった」
爽やかにスパッと言われて
また顔を上げたら
平子君は緊張が解けたようないつもの雰囲気に戻っている。

「そいつは心愛の気持ちを知ってるのか?」

「きっと知らない」

「俺が応援してやろうか?」

「絶対絶対ダメ!」
ブンブンと顔を横に振って否定しちゃう。

「……わかった」
平子君はふてくされた顔でそっぽを向く。

親戚の幼稚園の子に似てる。
私も緊張が解けたのか、つい笑うと「心愛はいつも俺を笑う」って怒られた。

「平子君こそ……私を見て、たまに機嫌悪い顔するでしょ」

「え!いつ?」
かなり驚いた顔をする。
意識してないのかな。