気のせいか遠くから誰かの視線を感じる。
ここはそういう場所だから、チェックしてる暇な人達がいるのだろう。そう思うと気持ちが落ち着かない。
「平子君、場所変えよう」
小声でお願いすると
「嫌だ!」とピシャリと拒否された。
「好きな女の子ができたら、ここで告白するってずっと決めてた」
まっすぐに私を見るまなざしが、怖くなるぐらい真剣だった。
今までこんな経験ないから
本気でどうしていいかわからない。
かなり困った顔をしてたのだろう
平子君はちょっと我に返ったようで「じゃ……こっちでいい」って、仕方なしにまた技術室の前に戻ってくれた。
ここなら陰になるから、渡り廊下みたいにオープンに見えないから少し落ち着く。ちょっとだけホッとした瞬間、また平子君は「無理って……無理?無理なの?」自分でも混乱している声を出す。
扉の前に立つ平子君
それを見上げる私。
「平子君……背が伸びたかも」
「やったぁ!最近足の関節が痛いからな。じゃなくてオイッ!」
こんな状況でも突っ込まれてボケる
そのサービス精神が人気なのだろう。
「誰か……好きなヤツいるの?」
そう聞かれ
身体が固まった。



