途中で杏珠の姿を発見。
技術室の手前は渡り廊下だもんね。
また断ったのかな。
「心愛」って、杏珠は駆け寄ってくれたけど、前を歩く平子君の足が速くて「あとでね」って言い、私は平子君の後ろを歩く。
どこ行くんだろう。
平子君と私は、とうとう渡り廊下を渡って技術室の前まで到着してしまった。私が聞き間違えたのかな。正解は技術室なのかな。平子君は中に入るかと思ったら、そのまま技術室の扉にタッチしてからクルリと回れ右して、また来た道を戻ろうとする。
絶対意味不明。
「平子君?」
私が聞いても無視しながら歩いたと思ったら
渡り廊下の真ん中で急に止まる。
後ろをパタパタと追いかけてるので
急に止まるものだから
私は平子君の背中に衝突してしまった。
「平子君!」
「心愛」
怖い顔をして私の顔をジッと見る。
ジャニ系の可愛い顔と言われてる平子君。
いつもふざけていて
男子にも女子にも人気者
そんな平子君が私を怖い顔で見ている。
心地悪さにうつむくと
ブレザーの袖の長さが気になって、袖口を指先でつかんでしまう。
ブレザーに合った身体になりたい。



