あと一週間で席替えの時期
ずっとこのままの席だったらいいのに……って考える。
最初はあんなに嫌だったのにね。
昼休み
午後からの英語の授業の訳を杏珠と合わせていたら、杏珠が3年生から例の渡り廊下に呼び出しをされ、私はひとりシャーペンを走らせてると「心愛、手伝って」斜め前から平子君の声がかかり、私は顔を上げた。
「みんなが提出したノートを職員室に取りに行かなきゃいけなくて、手伝ってくれる?」
「え?……うん」
どうして私なんだろう。
日直じゃないんだけど
不思議に思ったけど
平子君の顔も声もいつもより強張ってて、いつもとちょっと違う雰囲気だったから嫌とは言えなかった。
平子君は滑るように自分の席から立ち、私の方を振り向きもせずさっさと教室の出口に歩き出す。
私が絶対付いてくるって自信があるような動き。強引だなぁ。
私はその後ろをちょこまかと付いて行き、職員室までまっしぐらと思ったら方向が違う。
どこ行くの?
平子君は足早に技術室の方に歩いてく。
職員室とは別方向なんだけど……技術室に取りに行くの?技術室は女子は関係ないよ。



