『でも中原君って優しいんだね』

ゼリーのくだりから説明したので
萌ちゃんは感心したようにそう言った。

「うん。怖いと思ってたけど、みんな優しかった」

『よかったね』

「でもキラキラしてる人達だから、別世界でまだ慣れない」

『平子君とか話しやすそうだよね。話した事ないけど』

「うん。楽しそう」

放課後
平子君とツーショットで話をした事
私をこれから呼び捨てで呼ぶ事
その話はなぜか萌ちゃんに言えなかった。

あ、でもこれは言う。

「一年生に笑われたんだ私」

『えっ?いきなり何?』

「中庭でパート練習をひとりでやってたら、一年生に笑われた」

勝ち誇った感じで笑われた。

『それは怒らなきゃ』

「私より背が高くて可愛かった」

私がそう言うと萌ちゃんは笑い
私も笑った。

そして実花のミッションはどこかに消えてしまい、ふたりでダラダラと話を続けた。

このままミッションを忘れてしまいたい
でも忘れると萌ちゃんを失う。

あぁもう

どうしよう。