【今、電話していい?】ってLINEで聞くと、萌ちゃんの好きな声優が両手で丸を作ってるスタンプの返事が来たので、私はすぐさま電話した。
『……それは……大変だったね』
実花の話をすると
萌ちゃんは私の苦しさを理解したように、重い返事が返ってきたので気持ちが軽くなった。
「隣の席でもそんなチャンスないし、盗むのは嫌だもん」
『そうだよね』
「でもやらないと、実花に何されるかわかんないし」
『うーん』
「どうしよう」
『うーん』
一緒に悩んでくれる友達はとっても大切。
でも
私がミッション失敗して
実花ににらまれてグループを外されたら、萌ちゃんもユリもモコもきっと背中を向けてしまうだろう。
それを思うと
やっぱり胸がチクチクしちゃう。
『中原君のシャーペンと同じ物を買って、実花に渡して嘘を付く』
「バレたら怖い」
『正直に中原君に言って一本もらう』
「それが広がったら、他の子の行列ができて中原君のペンケース空っぽになる」
『むずかしいっ!』
冷静な萌ちゃんが電話の向こうで叫んでる。
ごめんね悩ませて。