「雑用でいいからマネージャーにして下さいって、一年女子も入ったから12じゃなくて14人か」
サラッと言う平子君に私は「平子効果だ」って言うと「ばーか」って頭をポンっと叩かれた。小柄な平子君の手が大きくて意外だった。男子の手って気がした。
「俺はそんな軽くない」
「軽く見える」
「ひどいな心愛」
もはや呼び捨て
平子君ってフレンドリー過ぎて、慣れてない私は上手く返事ができないかもしれない。
本当に私って
地味で面白味のない女の子。
人気者の男子とツーショットだから、もう少し気の利いた会話ができたらいいのに。
つまんない奴でごめんなさい。
つい無口になってマウスピースを見ると、薄っぺらい竹のリードが割れそうだ。新しいのに変えようかな……でもリード高いし。そんな事を思ってたら「ごめん!」って大きな声。その声に驚いて「ぎゃっ!」ってまた変な声が出てしまった。
「『ぎゃっ!』って口ぐせ?」
「違うよ。驚いただけ」
あーびっくりした。
胸を手で押さえて驚きを封印。
すると平子君は私の目をしっかり見て
「呼び捨て……嫌か?」と、言ってきた。
「あ……うん……ううん」
「いやそれどっち?」
お笑い芸人のノリで突っ込む平子君。



