放課後
実花に何か言われる前に、教室を早く出よう。
午後から中原君のペンケースに集中しすぎて、ムダに疲れてしまった。
「早いね心愛」
教室を出る時
武田さんと笑ってる萌ちゃんが私に声をかけてくれた。
私は吹奏楽部。
萌ちゃんは演劇部。
萌ちゃんの夢は演じる方じゃなくて脚本家。
三年生になったら、学校祭で自分の脚本を発表するのが夢って教えてくれた。今は脚本を沢山読みながら小道具作りを頑張っていて、器用な萌ちゃんは演劇部で大切な存在らしい。
「うん」
チラッと実花の方を見ると
実花はユリとモコとふざけてた。
よしよし
今がチャンス。
「萌ちゃん、今日電話していい?塾ないよね」
「うん。大丈夫だよ」
萌ちゃんに聞いてもらおう。
このミッションをひとりで苦しむのは地獄だ。
萌ちゃんの癒される笑顔を見て
ちょっと心を軽くして
私は部室に走ってく。