「心愛にミッション!」

実花はいきなりそんな発言をして、私の肩をギュッとつかんだ。

「中原君のシャーペンが欲しい」

「はぁ?」

いやもう
本当に意味わかんない。

「ボールペンでも消しゴムでもいい。なんでもいいから欲しい。隣の席だから何とかして」

「犯罪だよ」

「隣だからチャンスはある」

「自分でやりなよ」

「私はできない。友達ならできるでしょう。お願い心愛、約束絶対ね。そうじゃないと……私は本気だよ」

実花はギュッと私を強くハグして
後ろを振り向かず自分の席に行ってしまった。

えっ?盗めというの?
中原くんの物を盗めというの?
隣の席だから?

冗談でしょう?って言いたいけれど

それをやらなきゃ
実花のいじめが待っている

えっ?待って待って

どうしてこうなるの?

全部席替えが悪いよね


もう

最低じゃん。