誰かがどこかで救われる


「いっぱい人がいるけどさ」

「うん」

「俺、心愛がどこにいてもわかる」

「どうして?小さいから?」

「そうじゃなくても……わかる」

平子君は私の顔を見てそう言った。

「全校生徒集まってる体育館でも、地球が滅亡しそうになって全人類が一ヶ所に集まっても、俺は心愛がわかる。見つける事ができる」

断言する平子君の顔は、空に負けないくらい爽やかだった。

目が澄んでる。

「俺は……心愛が好きだ」

「私にはもったいないよ。平子君なんてモテるもん。私なんて地味でつまんなくて小さくて……」

「心愛がいい」

「こないだまでぼっちだったし、平子君の彼女になりたい子は多いよ。野球部のマネージャーの子も……」

「心愛じゃなきゃ嫌だ」

怒ったように言われてしまった。

屋上でツーショット
誰もいない

平子君は一歩私に近づく

あ……やっぱり背が伸びてる。