誰かがどこかで救われる



今日は先生の会議の為
部活中止。

最近調子がいいから
部活中止は悲しい。

放課後
音楽室に急いで行き
奥の楽器置場から自分の楽器ケースを手にすると、後ろから先輩がやって来た。

「心愛も?」
先輩も棚から自分の楽器ケースの蓋を開けて、ホルンのマウスピースを取り出した。

「はい。ロングトーンの練習してきます」
私もマウスピースを取り出し
ケースを閉じて返事をすると「えらいえらい」と褒めてくれた。

「心愛、最近いい音出てる」

「本当ですか?」
目を丸くして先輩に聞くと

「うん。上達してる」って言ってくれたので、泣けるほど嬉しかった。

めちゃくちゃ嬉しい。

「舞い上がらないように」

「空飛べます」

「最近ってことは、前が悲惨だったってことかもしれないじゃん」

グサリ……心が痛い発言された。
マウスピースを胸に抱いて動きを止めてたら笑われた。

「冗談だよ。上手になってるから大丈夫」

「せんぱーい!」

ムッとした顔をすると「早く廊下出なよ。彼氏が待ってるよ」って背中を押されてしまった。

彼氏?