大人になりきれなくて

いや
だってまだ私達は子供だから
なりきれなくていいんだけどさ

杏珠と中原君が仲良くしていて
おもしろくない人もいる。
おもしろくないから
実花は私にまた言いがかりをつける。

杏珠に文句を言えないから
実花は私に言う。

あぁまわりくどい
めんどくさい
サイテー。

ある日の昼休み

自分の席で杏珠と楽しく話をしていたら、実花が横を歩きながらわざと私の机に自分の身体をぶつける。
その弾みで私のお腹は机に押しつぶされて、イスごと斜めになってしまった。

「あーごめんー。小さくてわかんなかったー」
大きな声の棒読みセリフからのクスクス笑い。

痛いー!かなり痛かった。

「何するの?わざとでしょう!」
杏珠の強くとがめる声が教室に響くと、一瞬教室が静まり返る。

教室でこんな大きな声を出す杏珠は初めてだった。
お腹の痛みが飛んでった。ビックリ。

もっとビックリしてたのが実花だったけど、慌てて我に返ってニタニタ笑う。

「心愛がちっさいし。態度は調子にのってデカいんだけどさー。あれー?生意気に心愛が怒ってる?いつも思ってたんだけどさー、心愛って怒ったら顔がめちゃブサイクだよねー。怒っても困った犬みたいな顔でさーありえないくらいの顔で笑っちゃうー」

実花はそう言って
ニタニタ笑いからひとり大爆笑。

本当にヤダ。

実花のバカ笑い
そしてそれにのって
クラスカーストの人達のクスクス笑いが続くのだろう。