「杏珠は中原君とどうなの?」

「私?」

「うん」
中原君は杏珠が好きだよ。
ずっとずっと好き。

もうとっくに土曜日になり
忌まわしい金曜日は終わった。

今日から何かが変わればいい。

解放された杏珠が中原君の優しさに包まれて、ふたりが上手くいって笑ってほしい。

杏珠の返事を待ってると
杏珠は「おやすみ」って布団を頭からかぶった。

ずるい!

「杏珠ずるい!」
手を伸ばして布団を引っ張ると、杏珠は恥ずかしそうな顔をする。

手の届かない綺麗な教室の美少女から、ごくごく普通の可愛い女の子に変化した。

「杏珠!」

「おやすみ!」

「ずるいなぁ。おやすみ」

「心愛」

「ん?」

「ありがとう」

そっと細い手が伸びたので
私も手を伸ばし
杏珠の手を握る

もう大丈夫だよ

きっと大丈夫だよ。


私達は目を閉じた。