「ううん。私の顔を見て心配してくれた。その時は井上先生を振り切ったけど、それから気にしてくれた……本庄先生はそれっきりだった」
ケンケンは薄っぺらい教師なんだ。
せっかく杏珠が信頼して相談したのに最低だ。
でもロッテンマイヤーさんも怖いよ。
大丈夫だったのかな。
杏珠は話を続ける
その表情は私の不安を吹き飛ばすくらい、今までで一番明るかった。
「廊下ですれ違うたびに声をかけてくれた。本当に心配してくれて、最初は誰も信じられなくて大人も先生も大嫌いだった。井上先生は言い方は厳しかったけど、本当に私を心配してくれていて……全てを話したら……泣いてくれた」
ロッテンマイヤーさんが泣いた?
「『かわいそうに』って言ってくれた『井原さんは何も悪くない』って言ってくれた」
井上先生はわかってくれたんだ。
その後
井上先生は学校に杏珠のお母さんを呼び出したけど、杏珠のお母さんは先生の話の途中で席を立って学校を出た。
教頭先生や他に相談しても親の意見を尊重するので
杏珠は助からない。
「やっぱりダメなんだって思ってた時、悠貴がケガした」
「悠貴って中原君?」
杏珠の前で中原君の名前を出したら、まだ心臓がチクリと痛んだ。
これが本で読む
失恋のオマケってヤツなのかな。



