じろじろと視線を浴びながら、私達は校門前で相良君と美鈴君が出てくるのを待った。

「もう、帰っちゃったのかな」

「うーん……」

人が疎らになってきても、二人の姿はまだ見えない。

「あー、特進科の由李ちゃんじゃーん?」

普通科から出てきた、真っ黒な制服に反するカラフルな髪の男の子達に声を掛けられる。

(何で、私の名前知ってるんだろう……)

男の子と認識するや、ぞわっと悪寒が全身を駆け巡る。

彼女はいつものように私を背に庇って、近付いてくる男の子達の前に立った。

「人違いです」

堂々と嘘をつく彼女に苦笑いしそうになるが、実際は怖くてそれどころじゃない。

「いや、どう見ても由李ちゃんっしょ。君、面白いね」

「誰か待ってる?もしかして、俺?」

「ははっ、それはないだろ!てか俺、君のほうが好み。名前はー?」

彼女は強気な態度であしらうが、彼らはものともせず、にやにやと笑うだけ。

「あんた達に用はない」

彼らは、言い切る彼女の凄みに全く動じず、私達を取り囲んで動かない。

どころか、じりじりと距離を詰められている気がする。

「み、宮ちゃん……」

見下ろす彼らの視線が、怖い。

背中が門に当たって、がしゃんと音を立てる。

その音にすら過剰に驚き、びくっと肩を揺らす。

そんな自分が情けなくて、私は強く唇を噛み締めた。

「一旦、引き返そう」

小声で耳打ちした彼女の手を、ぎゅっと握り締めた。

力を入れていないと、倒れてしまいそう。

男の子が傍にいるだけで、指がかじかむような寒気がする。