「さあ、泣いているひまはないぞ! まずはくるみをこんがりするまで煎るんだよ。粗熱がとれたら砕くんだ」


「わかったわ」


「それから砂糖も、もっと細かい粉砂糖のほうにして」


アラシはボウルに柔らかいバターと粉砂糖を入れると、泡立て器で混ぜ始めました。
それからヘラで小麦粉とアーモンドパウダーをざっくざくと混ぜていきます。


生地がまとまったところで、ナギが砕いたくるみを入れました。


「さあ、これで丸めるよ」


「丸くするの?」


「そう。満月みたいに丸くするのさ」


落ち込んでいたナギは、それを聞いて顔をパッと輝かせました。
お星様は作れないけれど、お月様は作れるんですから。