クッキーの甘い匂いの中、コーヒーの香ばしさが泳ぎだします。
店の窓からさしこむ昼下がりの日差しが、真っ白いクッキーと真っ黒いコーヒーに降り注いでいます。


「いただきます」


アライグマさんはクッキーを口に放り込むと、みるみるうちに目を丸くしました。


「これは驚いた!」


舌の上に甘い味が広がった途端、クッキーは口の中でほろほろと溶けて消えてしまうのです。


「なんて美味しいんだ! それにこの口どけったら」


アライグマさんはコーヒーを飲むことも忘れ、次々とクッキーを口に入れました。


「雪のようだ」


その食べっぷりにアラシがすっかり嬉しくなって答えます。


「スノーボールクッキーといいます」


「なるほど、まさしく海に舞い落ちて消えていくぼたん雪だ。いや、それよりもっと素晴らしい賛辞を送ろう。これは夜空を滑って消える流れ星のような素晴らしいクッキーだ」