希風が窓を覗いた時にそう言った。
「カッコいいわぁ…」
希風が見惚れているのは神崎先輩。
「帰ろうよ、門閉まるよー?」
「ああ、ごめんごめん」
私達は帰路を歩いた。

疲れ切った足で家に帰ってご飯を済ませ、お風呂を済ませた。
それからベッドの上にダイブして、ずっと考えてた。
(あの人が3年生のウワサの…)
(って、なんで私神崎先輩のこと!)
自分が考えられなかった。
明日から授業が入る。
今日はもう寝ることにした。

「おはよー…あかり」
「え、え?!暗!」
いつも元気な希風が凄く根暗に見える。
何があったのか瞬時に理解した。
「もうさぁ…神永くんカッコいいよね」
始まった、希風の恋煩い。
こうなると希風はその人の話ばかりする。
「そーかな?」
「カッコいいの!!」
否定は出来ない。我慢しよう…。

──1限目。
「…あかりちゃん、起きて」
「あ、神永くんありがと…寝てたんだ」
隣の席の神永くんが授業の度に起こしてくれるハメになりそうで申し訳ない。
だって一限目から数学とかやる気なくすと思うんだけど。
「神永くんって好きな人作る派?」
「うん…かも」
「へぇ…意外」
有名人ってそういうのはしないと思ってた。
少し神永くんについて知れてる気がした。
希風がギャアギャア叫びそうだが放置しておけば治るだろう。
「ありがとう神永くん、次も寝てたら起こしてよね」
「分かったよ、あかりちゃん。存分に寝てください」
あかり"ちゃん"…?
そこに違和感を覚えてしまい、ちょっぴりのドキドキ。
授業に集中出来ない。
気付けば授業は終わっていた。
「あかりちゃん、寝なかったね。えらいえらい」
「かっ、神永くん!?」
「頭撫でられるのやだった?」
「べ、別にそういう訳じゃないけど!」
ようやっと数学が終わったのだ。
次の時間も集中できそうにない…。