───春。
私の名前は"真島あかり"。
今年高校に進学したばかり。
ここで新しい友達が出来る、そう思うとなんだか心が嬉しくなってくる。
たまたま同じ高校の"水島希風(ののか)"と"三島萌花"と通学路を歩きながら話す。
「あかりってこの学校のウワサ知ってる?」
「え?何それ?」
ウワサが大好きな希風が目を輝かせながら話した。
「ここのサッカー部の3年生!超モテモテなんだって!しかもかなりのイケメンらしい…」
希風の情報が早すぎる。と言うのもあるが、この学校にそんな人がいるとは思わなかったのだ。
「希風それホント?」
「いややわぁ、もえちん。ホントに決まっとるって!」
「のんちゃんが嘘をつくとは思わないよ」
萌花が疑ったが私が止めた。希風はウワサが好きでいつも振り回される。私達が止めるまで止まらない。
「ついたよ、教室は?」
「私1-3」
「うち1-3」
「あたしも1-3」
皆一緒だった。
教室は特に気にしてなかったけど、同じならいいや。
クラスにカッコいい人いないかなぁ…。
「そういえば、サッカー部の人って3組に多いらしい…!」
「カッコいい人の1人はいるかもね」
希風の妄想の拍車がかかる前に萌花が落ち着かせた。
希風ってちょっと喜怒哀楽が激しい。
教室に入り、軽く自己紹介をすることになった。
「…!」
「あの人…って、まさか!」

「神永…聖」
「どうも、神永聖です。よろしくお願いします」
確か神永くんって有名人なんだよね。
じゃにーず?に入ってるって聞いた。
「次は真島さんですよ。早く来てください」
「あぁ、あ、はい!すみません」
「真島あかりです!よろしくお願いします!」
無事自己紹介を終え、3限目まで終わって帰宅時間だった。
私は教室から見えるサッカーコートの、端っこの方に人影を感じた。
しばらく覗いていると、3年生ぐらいの男の子が見えた。
「あ、あれって神崎涼介先輩?!」
希風が覗いた窓の外、そこには神崎先輩。
そして、取り囲む女子。
「やっぱり…ファンクラブがあるのは本当だったんだ」
「希風はそこまで知ってたの…?」
希風の情報網が恐ろしい。