打てるまで帰れる気がしないほどの熱血な真剣さを漂わす翔太君を背後に感じつつ。 がむしゃらに、でも教えられたことも守りつつバットをひたすら振る。 二十五球投げてくるボールも残り三球。 何球かはバットを掠めるようになった。 「いける、千鶴!」 「ていやぁ!」 ……ブンッ。 空振り。 「こんにゃろぉぉ!」 カキーンッ。 ……え? 今カキーンって聞こえた…… 「すげー! 千鶴打てたじゃん! ヒット、ヒット!」