でも今日は、完全オフの日に会うことになっている。しかも、同期五人一緒じゃなくて、ふたりきり。
「どうしよう、一体何を着て行けばいいんだろう?」
普段通りでいいんだよ、と心の中の私が答えるけれど、でもあの松嶋くんと一緒だよ? ともうひとりの私が不安そうな声を上げる。
そうなのだ。相手があの『王子』と呼ばれる松嶋くんだから緊張してしまうんだ。
きっと松嶋くんは、周りの注目を浴びてしまうだろう。
そうすると、必然的に隣を歩く私にも目が向いてしまう。
そのときに、松嶋くんが恥ずかしくなるような状況だけは避けなければ。
大事な同期に恥をかかせるわけにはいかないよ。
「そうだよ、松嶋くんが恥ずかしい思いしないようにって思ってるだけなんだから」
あくまで「私が」恥ずかしいとかじゃないんだ。そう言い聞かせて、私は再びクローゼットをのぞき込む。
考えに考え抜いて選んだのは、無難な花柄のワンピース。
膝丈のフレアスカートが、上品な印象を与えてくれるはず。
その上に、日焼けと冷房対策で、白のカーディガンを羽織ることにした。
バッグとサンダルは、夏らしくお気に入りの赤で揃えて、私は「よしっ」と気合を入れて玄関を飛び出した。
美術館には約束の十分前に到着した。
このくらいに到着しておけば大丈夫だろう、そう思っていたら、美術館の入り口のちょっと端。大きな木の下に、松嶋くんが立っているのが見えた。
今日は休みだから、いつものスーツ姿じゃない。
白のTシャツにネイビーのチェックのシャツを重ね着していて、下は黒のクロップドパンツといったカジュアルな姿。
左腕にある腕時計も、いつもしている仕事用のカッチリしたものではなくて、スポーティーな腕時計のようだ。
遠くから見ても画になる人だなあ。そう思って立ち尽くしていると、ふとこちらを向いた松嶋くんと目が合ってしまった。
私を認識した松嶋くんは、軽く片手を挙げて笑顔を見せる。
私も小さく手を振り、松嶋くんの元へと駆け寄った。
「ごめんね。待たせちゃった?」
「いや。俺もさっき来たところ」
そう言った後、松嶋くんはまぶしそうに目を細めた。
「どうしたの?」
「……ワンピース、似合ってるね」
「そ、そうかな?」
「どうしよう、一体何を着て行けばいいんだろう?」
普段通りでいいんだよ、と心の中の私が答えるけれど、でもあの松嶋くんと一緒だよ? ともうひとりの私が不安そうな声を上げる。
そうなのだ。相手があの『王子』と呼ばれる松嶋くんだから緊張してしまうんだ。
きっと松嶋くんは、周りの注目を浴びてしまうだろう。
そうすると、必然的に隣を歩く私にも目が向いてしまう。
そのときに、松嶋くんが恥ずかしくなるような状況だけは避けなければ。
大事な同期に恥をかかせるわけにはいかないよ。
「そうだよ、松嶋くんが恥ずかしい思いしないようにって思ってるだけなんだから」
あくまで「私が」恥ずかしいとかじゃないんだ。そう言い聞かせて、私は再びクローゼットをのぞき込む。
考えに考え抜いて選んだのは、無難な花柄のワンピース。
膝丈のフレアスカートが、上品な印象を与えてくれるはず。
その上に、日焼けと冷房対策で、白のカーディガンを羽織ることにした。
バッグとサンダルは、夏らしくお気に入りの赤で揃えて、私は「よしっ」と気合を入れて玄関を飛び出した。
美術館には約束の十分前に到着した。
このくらいに到着しておけば大丈夫だろう、そう思っていたら、美術館の入り口のちょっと端。大きな木の下に、松嶋くんが立っているのが見えた。
今日は休みだから、いつものスーツ姿じゃない。
白のTシャツにネイビーのチェックのシャツを重ね着していて、下は黒のクロップドパンツといったカジュアルな姿。
左腕にある腕時計も、いつもしている仕事用のカッチリしたものではなくて、スポーティーな腕時計のようだ。
遠くから見ても画になる人だなあ。そう思って立ち尽くしていると、ふとこちらを向いた松嶋くんと目が合ってしまった。
私を認識した松嶋くんは、軽く片手を挙げて笑顔を見せる。
私も小さく手を振り、松嶋くんの元へと駆け寄った。
「ごめんね。待たせちゃった?」
「いや。俺もさっき来たところ」
そう言った後、松嶋くんはまぶしそうに目を細めた。
「どうしたの?」
「……ワンピース、似合ってるね」
「そ、そうかな?」


