「っていうか、五年前に向こう行ってから何回帰ってきたんだっけ?」
湯船につかりながら、私はこの五年間を思い出す。
行って一年目の夏休みには、私がロンドンに遊びに行ったでしょ?
二年目のお正月には、静也が日本に帰ってきたけれど、あれ?
「……三年近く、私たち生身で会ってないんじゃないの?」
自分でつぶやいてゾッとする。
一応年に数回は画面越しではあるけど顔を見て会話はしているけど、あくまで数回。
メールも、月に一回もらえるかどうか。
私の日記のような長文メールにさえ、返信してもこないのが静也だ。
当然、男女の営みなんてものも、ご無沙汰状態。
静也に期待するのは間違っているから、私が行動すればいいだけの話。
だけど、私も課長に昇進したり父が入院した時期もあったりして、中々長期でまとまった休みを取ることが出来なかった。
国内なら土日で行って……なんてことも出来るけど、さすがにそう簡単に考えることができなくて、こんなに長い時間会っていない。
「この際、友達に戻ったほうが精神的に楽なのかも……」
ふと目に入ったのは、今日結衣ちゃんが社内の廊下で拾った離婚届。
妻の欄に、自分の名前や住所をスラスラと書き込む。
もし、これを送りつけたら、静也はどう思うだろう。
さすがに焦って帰ってきてくれるだろうか。
「あんまり本気で考えないかもな」
ハハッ、と乾いた笑いがこぼれ、私はそのままベッドへダイブした。
翌朝の土曜日は、天気予報通り快晴だった。
私は予定通り、掃除と洗濯をこなしていく。
お昼には簡単にパスタを食べ、録りためていたテレビ番組を視聴し、十五時過ぎに洗濯物を取り込んでしまえば、あっという間に夕食を考える時間になってしまった。
ひとりで家で食べるのも、外食するのもなんだか嫌で、向かった先は友人夫婦の経営するカフェ。
「瑞穂先輩、いらっしゃい!」
笑顔で出迎えてくれたのは、私の高校時代の後輩でもあるなっちゃん。
「なんだよ、お前かよ」
「悪かったわね、私で」
悪態をつくのは、なっちゃんの旦那さんでもあり、私にとっては小学校からの腐れ縁の友人、清志。
「ふたりが出会ったのは私のおかげなんだから、手厚く迎えなさいよ」
湯船につかりながら、私はこの五年間を思い出す。
行って一年目の夏休みには、私がロンドンに遊びに行ったでしょ?
二年目のお正月には、静也が日本に帰ってきたけれど、あれ?
「……三年近く、私たち生身で会ってないんじゃないの?」
自分でつぶやいてゾッとする。
一応年に数回は画面越しではあるけど顔を見て会話はしているけど、あくまで数回。
メールも、月に一回もらえるかどうか。
私の日記のような長文メールにさえ、返信してもこないのが静也だ。
当然、男女の営みなんてものも、ご無沙汰状態。
静也に期待するのは間違っているから、私が行動すればいいだけの話。
だけど、私も課長に昇進したり父が入院した時期もあったりして、中々長期でまとまった休みを取ることが出来なかった。
国内なら土日で行って……なんてことも出来るけど、さすがにそう簡単に考えることができなくて、こんなに長い時間会っていない。
「この際、友達に戻ったほうが精神的に楽なのかも……」
ふと目に入ったのは、今日結衣ちゃんが社内の廊下で拾った離婚届。
妻の欄に、自分の名前や住所をスラスラと書き込む。
もし、これを送りつけたら、静也はどう思うだろう。
さすがに焦って帰ってきてくれるだろうか。
「あんまり本気で考えないかもな」
ハハッ、と乾いた笑いがこぼれ、私はそのままベッドへダイブした。
翌朝の土曜日は、天気予報通り快晴だった。
私は予定通り、掃除と洗濯をこなしていく。
お昼には簡単にパスタを食べ、録りためていたテレビ番組を視聴し、十五時過ぎに洗濯物を取り込んでしまえば、あっという間に夕食を考える時間になってしまった。
ひとりで家で食べるのも、外食するのもなんだか嫌で、向かった先は友人夫婦の経営するカフェ。
「瑞穂先輩、いらっしゃい!」
笑顔で出迎えてくれたのは、私の高校時代の後輩でもあるなっちゃん。
「なんだよ、お前かよ」
「悪かったわね、私で」
悪態をつくのは、なっちゃんの旦那さんでもあり、私にとっては小学校からの腐れ縁の友人、清志。
「ふたりが出会ったのは私のおかげなんだから、手厚く迎えなさいよ」