そして、その背中を押してくれたのは父の奥様だと、蒼大くんからも聞かされた。
「でも、寂しくなるなあ。松嶋とユイユイが東京行っちゃうの」
「来年の三月だし、まだまだ先だよ」
コトブキ製菓の社長や、蒼大くんのご両親と相談した結果、蒼大くんは来年の三月をもってコトブキ製菓を退職し、松嶋グループへ戻ることになった。
そのタイミングで私も退職して、蒼大くんと東京へ向かう予定になっている。
「それもそうだな。それまで、たくさん思い出作ろうぜ」
「ああ、そうだな」
「うん。きょんちゃんと小春ちゃんも入れて、同期五人で集まろうね」
「え? そんなの出来るか?」
蒼大くんが首を傾げる。
「ふたりに言ったら、お休みの日なら、ランチするくらいの時間はあるって言ってたよ。旦那さんがそれくらいなら見てくれるからって」
「それなら、俺たちがふたりに合わせて予定立てないとな」
「うん。もちろん兄さんも、合わせてね」
「当たり前だろ」
そう言って三人で笑っていると、兄さんがニヤリと笑った。
「そういえば、俺、ユイユイにひとつ聞きたいことがあったんだ」
「何?」
「ユイユイさあ。松嶋のどこに惚れたの?」
突然の質問に、思わず持っていたお箸を落としてしまう。
「松嶋からはユイユイに惚れた理由とかたくさん聞いてるんだけどさ、逆はなかったなって思って」
困った顔で蒼大くんを見ても、蒼大くんもニコニコ微笑むだけ。
「そういえば俺もちゃんと聞いたことなかったし。聞かせてよ、結衣」
ああ、これはきっと言うまで引いてくれないパターンだ。
恥ずかしくてたまらないけど、ここはちゃんと言おう。
そう心に決めて、赤くなる頬を両手で押さえて顔を上げる。
「多分、笑顔」
「笑顔?」
「うん。蒼大くんを見てるとね、太陽みたいな人だなって思うの。太陽みたいに人を明るく照らしてくれる人だなって。そんな蒼大くんの側で暖かい気持ちで過ごしたい。そう思えるところかな」
言いきって蒼大くんを見ると、今までにないくらい真っ赤な顔をしていた。
「ユイユイ。そりゃ破壊力抜群だよ……」
兄さんがポツリ、つぶやく。
「でも、寂しくなるなあ。松嶋とユイユイが東京行っちゃうの」
「来年の三月だし、まだまだ先だよ」
コトブキ製菓の社長や、蒼大くんのご両親と相談した結果、蒼大くんは来年の三月をもってコトブキ製菓を退職し、松嶋グループへ戻ることになった。
そのタイミングで私も退職して、蒼大くんと東京へ向かう予定になっている。
「それもそうだな。それまで、たくさん思い出作ろうぜ」
「ああ、そうだな」
「うん。きょんちゃんと小春ちゃんも入れて、同期五人で集まろうね」
「え? そんなの出来るか?」
蒼大くんが首を傾げる。
「ふたりに言ったら、お休みの日なら、ランチするくらいの時間はあるって言ってたよ。旦那さんがそれくらいなら見てくれるからって」
「それなら、俺たちがふたりに合わせて予定立てないとな」
「うん。もちろん兄さんも、合わせてね」
「当たり前だろ」
そう言って三人で笑っていると、兄さんがニヤリと笑った。
「そういえば、俺、ユイユイにひとつ聞きたいことがあったんだ」
「何?」
「ユイユイさあ。松嶋のどこに惚れたの?」
突然の質問に、思わず持っていたお箸を落としてしまう。
「松嶋からはユイユイに惚れた理由とかたくさん聞いてるんだけどさ、逆はなかったなって思って」
困った顔で蒼大くんを見ても、蒼大くんもニコニコ微笑むだけ。
「そういえば俺もちゃんと聞いたことなかったし。聞かせてよ、結衣」
ああ、これはきっと言うまで引いてくれないパターンだ。
恥ずかしくてたまらないけど、ここはちゃんと言おう。
そう心に決めて、赤くなる頬を両手で押さえて顔を上げる。
「多分、笑顔」
「笑顔?」
「うん。蒼大くんを見てるとね、太陽みたいな人だなって思うの。太陽みたいに人を明るく照らしてくれる人だなって。そんな蒼大くんの側で暖かい気持ちで過ごしたい。そう思えるところかな」
言いきって蒼大くんを見ると、今までにないくらい真っ赤な顔をしていた。
「ユイユイ。そりゃ破壊力抜群だよ……」
兄さんがポツリ、つぶやく。