「そ、そう……」

「帰ってきたら、話したいことがある。仕事が終わったら、木曜日、うちに来てほしい」

「うん。わかった」

「だからさ、結衣」

「キャッ。ま、松嶋くん?」

ニヤッといたずらっ子のように笑った松嶋くんは、急に立ち上がったと思ったら私を軽々と持ち上げた。

そのまま寝室に連れて行かれて、柔らかいベッドの上に優しく置かれる。

「これから一週間近く、結衣に会えないから、今日はたっぷり堪能させて」

「え、でも片づけが……」

「そんなの明日、俺がするよ。明日は土曜日だし、大丈夫だろ?」

「え、あ……んっ……」

何か言おうとする前に、優しく唇がふさがれる。

そのままそれは深い口づけに変わっていき、私は観念して松嶋くんの首に両手を回した。

松嶋くんは、いつもどんなときでも優しくて、私を甘やかす。

結局私は、自分の生い立ちや思っていることを告げることもできず、翌朝、出張へと旅立つ松嶋くんを見送ったのだった。