静寂を破ったのは、松嶋くんだった。

真剣だった表情を少し和らげて、私にひとつの提案をしてくる。

「俺、返事を急ぐつもりはないんだ。ゆっくりでいい。俺のこと、恋愛対象として見られるか、考えてくれないか?」

「考える?」

「そ。こうやって、ふたりでどこか出かけたり、食事したりしてさ。俺と一緒にいることが楽しいって思えるかどうか、試してくれないかな?」

思えばここで、はっきりと断るべきだったのかもしれない。

だけど私は、そんな松嶋くんの優し過ぎる提案に、コクリ、と首を縦に振ったのだった。