「面白過ぎるだろ。つか、声出して笑えないのがこんなにキツイとか初めてだよ、俺」
「そんなに笑うことないでしょ」
「ごめんごめん、そんなむくれるなって」
まあまあ、となだめるように自然と私の頭を松嶋くんがポンポン、と撫でる。
違和感なく置かれているその手を、私は少し意識してしまったようで、胸がトクリ、と小さな音を立てた。
「……松嶋くんは、楽しい?」
「え?」
美術館という静かな空間は、私の独り言のようなつぶやきも逃してくれなくて、松嶋くんが少しだけ目を丸くした。
「ごめん、気にしな……」
「楽しいよ」
気にしないで、と続けようとした私の声に被さるように松嶋くんが声を発した。
「俺は、楽しいよ。三枝が楽しそうにしている姿を見てるの」
「そうなの?」
「うん。本当に楽しそうだな、幸せそうだなって思いながら見てる。テディベア見てニコニコ笑ってる三枝見てると、こっちまで幸せな気分になれる」
私はただ、テディベアがたくさんいる世界が楽しくてはしゃいでいるだけなのに。
そんな風にベタ褒めされてしまうと、ちょっと恥ずかしくなってくる。
「松嶋くんがそれでいいなら、いいけど」
恥ずかしくて顔も上げずにつぶやくと、松嶋くんが小さく笑う声がした。
「あ、そうだ。三枝、ひとつ頼みがあるんだけど」
「何?」
「会場出たら、グッズ売ってんじゃん? そこで何か見繕ってよ」
「え? 松嶋くん、何か買うの?」
「買うっちゃ買うんだけど、俺のじゃなくて、妹の」
「妹さん?」
そういえば松嶋くんの家族構成とか聞いたことなかったなあ、と今更ながらに気づく。
「妹さん、何歳なの?」
「来月の誕生日で十七になる。高校二年生なんだ」
「結構歳離れてるんだね。来月誕生日ってことは、誕生日プレゼント?」
「そう。この間もメールきてさ、『社会人初のプレゼント、楽しみです』って。俺はお前の何なんだって感じだよ」
「思いっきりたかられてるね」
私がクスクス笑っていると、松嶋くんは困った顔をして右手で頭をかいていた。
多分、すごく優しい、いいお兄ちゃんなんだろうなあ、松嶋くん。
「そんなに笑うことないでしょ」
「ごめんごめん、そんなむくれるなって」
まあまあ、となだめるように自然と私の頭を松嶋くんがポンポン、と撫でる。
違和感なく置かれているその手を、私は少し意識してしまったようで、胸がトクリ、と小さな音を立てた。
「……松嶋くんは、楽しい?」
「え?」
美術館という静かな空間は、私の独り言のようなつぶやきも逃してくれなくて、松嶋くんが少しだけ目を丸くした。
「ごめん、気にしな……」
「楽しいよ」
気にしないで、と続けようとした私の声に被さるように松嶋くんが声を発した。
「俺は、楽しいよ。三枝が楽しそうにしている姿を見てるの」
「そうなの?」
「うん。本当に楽しそうだな、幸せそうだなって思いながら見てる。テディベア見てニコニコ笑ってる三枝見てると、こっちまで幸せな気分になれる」
私はただ、テディベアがたくさんいる世界が楽しくてはしゃいでいるだけなのに。
そんな風にベタ褒めされてしまうと、ちょっと恥ずかしくなってくる。
「松嶋くんがそれでいいなら、いいけど」
恥ずかしくて顔も上げずにつぶやくと、松嶋くんが小さく笑う声がした。
「あ、そうだ。三枝、ひとつ頼みがあるんだけど」
「何?」
「会場出たら、グッズ売ってんじゃん? そこで何か見繕ってよ」
「え? 松嶋くん、何か買うの?」
「買うっちゃ買うんだけど、俺のじゃなくて、妹の」
「妹さん?」
そういえば松嶋くんの家族構成とか聞いたことなかったなあ、と今更ながらに気づく。
「妹さん、何歳なの?」
「来月の誕生日で十七になる。高校二年生なんだ」
「結構歳離れてるんだね。来月誕生日ってことは、誕生日プレゼント?」
「そう。この間もメールきてさ、『社会人初のプレゼント、楽しみです』って。俺はお前の何なんだって感じだよ」
「思いっきりたかられてるね」
私がクスクス笑っていると、松嶋くんは困った顔をして右手で頭をかいていた。
多分、すごく優しい、いいお兄ちゃんなんだろうなあ、松嶋くん。


