化粧室から戻ってきた後に、先輩である蕾先輩と鉢合わせになった。
少し肩の力が抜けたのか両手を上げるしぐさを見せた。

「鉄ちゃん、大徳さん見るの初めてだっけ?」
「はい、というか本社の方々は初めてです。」
「なるほどね…あれがうちのグループのやり手:大徳雄一郎さんね。
カッコいいでしょ?」
「…まあ、顔はいい方かと」(性格はナンアリそうだけど)

お化粧直しをしにきたのか小さなピンクのポーチをもっていて
手を洗っていた愛莉の隣にやってきてポーチを開けた…

「私たちの会社で男性プランナーを出したのが大徳さんが初めてなんだよ。
平田くんの、一応憧れの人だそうよ?」
「…え”」

一瞬声が変になってしまった。

「まあ仕事するときに大徳さんの業績を見せてあげるね。
本店でも一目置かれてるからさ」

そんなにすごい人なのか…



****


そんな冷静な考え方に変わった愛莉は席に戻ると既に出来上がっている人物がチラホラ。


…その中にひときわ目が行くのは、大徳である
大徳を見た瞬間、彼の視線が愛莉に向かった。
凛とした顔立ちに、その瞳。
スタイリッシュな服装、どこかのモデルか!と頭で一括するとこちらへくるではないか…。