色んなことをほとんど覚えてないのだけれど。


起きたら目の前にあった顔。


「慎吾!?!?」


飛び起きたものの激しい頭痛に襲われた。


「あ、起きた?おはよー
昨日すんごい酔ってたね」


寝ぼけてにこっとしながら慎吾が言う。
今日は仕事は休みだから勇士くんに話聞こう。


「覚えてない?ひどいなあ...」


「なにがあったの?てかここどこ?」


見覚えのないリビング。


見覚えのない部屋。


まさか慎吾の家?


色々考えたけどわからない。


「莉央ちゃん、すごい酔ってて...
すごい求めてくるから連れて帰っちゃった」


...待って待って待って待って


求めてくるから?どうゆうこと?
やっぱりここは慎吾の家?


「...っ」


「あ、二人とも起きたの?おはよー」


「え?勇士くん?」


なんで?勇士くん?
ますますわからない


「お前まじでなんも覚えてねえのな」


勇士くんの寝起き。
勇士くんの寝癖。


「勇士くん、いつもマヌケだけど
輪を増してるね」


「しばくぞ」


そして、説明された。


私がひどく酔って店に来たこと。
そのまま寝てしまったこと。
慎吾が抱えてタクシーに連れて行って
くれたものの、住所が言えなくて
また店に戻ったこと。
そして、ここは勇士くんの部屋であること。
慎吾は...私が帰らないでほしいと
引き止めたこと。


「思い出そうとすればするほど
頭痛いんだけど...」


まさか、慎吾を引き止めたなんて。
だからって一緒に寝なくても。


「莉央ちゃん可愛かったなあ!
襲っちゃいそうだった」


「なにもしてないわよね!?」


「安心しろ。俺もその若僧が寝るまで
こっちにいた」


...安心できないけどとりあえずよかった。


「ったく。その若僧、どうしても
莉央と寝るって聞かなくてよお」


「ちょ!勇士くん!」


「...二人ともいつそんなに
仲良くなったのよ...」


こうして、私の気持ちは隠せなくなったのでした。