私は深夜のアルバイトをしていた。
そう、ネオンが煌めく着飾った女の子が
たくさんいるお店...

今日もそこへ足を運ぶ。


「おはよー」


「おー莉央!今日もやる気ないねえ!」


店の黒服、ハジメくん。
私より3つ年上のチャラボーイ。


「やる気はオープンしてからでいいの〜」


それまでは脱力全開。
準備も比較的ゆっくり。


「おはよー莉央ちゃん!
今日どうかな?セット行ったの!」


店で1番の仲良し美怜(みれい)


「んーみぃはなにやっても可愛い可愛い」


「ちょっともう適当!てか、莉央ちゃん
今日同伴じゃなかったの?」


「んーなんか連絡なくってさー。
電話しても出ないからもう消しちゃった」


こんなのはよくあることだ。
客からのドタキャン。
そんなことにいちいち執着してる
元気はない。


「まあ、同伴しなくても
莉央ちゃんは稼げるもんねー!」


否定はしない。
実際、同伴の一つや二つなくなっても
給料に影響しない。その分を稼げばいいから。


「莉央さー、来月撮影しない?」


「なんの?」


「店の看板」


店の看板...それを見て男は判断する。
この店はどんな子がいるか。
そのプレッシャーはでかい。


「お前一応No.1だし、なんなら
美怜とでもいいぞ?」


「ならやる」


美怜となら、安心だ。


美怜は素晴らしく顔が整っている。
その顔に整形したいくらい。
私が劣っていても美怜が看板なら絶対大丈夫だ。


そうして一日が始まり、終わる。


「やっぱ莉央ちゃんすごいね!
今日同伴じゃなくなって逆によかったんじゃない?」


「だね!予想外だけどラッキー」


同伴がなくなって、オープンから店にいると
予想以上に指名がかぶり、予想外に
ボトルが空くわ空くわ。
今日の給料はほんとにありがたい。


「っしゃ!ぱーっと遊びますか!」


そして美怜と飲み歩いた結果、
私は泥酔して勇士くんのお店に辿り着いた。