「あ、そーいや潤に渡すもんあったんだわ」


唐突にそんなことを言いながらポケットをゴソゴソしだした春綺は
いくつもの白い紙を取りだし、机の上にバサっと置いた。





またか……





「だからいらないって」



この山を何度見たことか…と再び溜息が漏れる。




しかし春樹は私の言葉など気にしない。


「まぁそんな堅いこと言うなって。
えーっとこれがB組の明石で、これがD組の白井で……」

次々と白い紙を手に取っては知らない名前を読みあげる。





「モテモテだね。白良衣さん」







……天王寺くんほどではありませんが。



「潤、これはオススメ。
C組の山本。
俺や帝くんと比べたら劣るけど結構イケメンだからインスタだけでもフォローしとけば?」


「いや。天王寺くんと並ぶなって」

「うるせーな!
恋のキューピッドに対してどんな口聞いてんだ」


「報酬は?」



「IDの手渡し1000円、インスタフォロー5000円、カップル成立で10000円」






どんなバイトだよ。






「しばくぞ」


「冗談だってー
みんなしつこいんだよ、俺の身にもなれよ。
大変なんだよ断るの!」


「…いや知らないよ。
もーぜんぶ断っといて!頼んだ!!」