列で並んで体育館に入ると先輩達が温かく拍手で迎えてくれた。

入ると大人っぽい人が沢山いて、もう高校生なんだなぁと改めて実感する。

1年生はさっそくかっこいい先輩や可愛い先輩を見つけている。

何で皆そんな余裕があるの...?

緊張しないのかな...。

周りを見るのが怖くてずっと下を向きながら歩く。

すると後に座っていた派手な先輩達の1人が立って「あの子可愛いんだけど!!」と言って私を指さしてきた。

そのせいで私は全校生徒から注目されてしまう。

がやがやし始める。

いろんな声が聞こえて怖くなった私に先輩は、肩に手を置き「何て言うの?」と絡んできた。

頭が真っ白になった。

本当に怖くて手を払おうとしても力が強くてびくともしない。

何でこんなことになるのっ...。

やっぱりこんな格好私には似合わないよっ...。

視界が涙でかすむ。

「やめてくださっ...」

「すみません、離してもらえますか」

そう言って先輩の腕を掴んだのは隣の瀬戸口くんだった。

「あぁ?何だお前?」

いらついた先輩は瀬戸口くんに掴みかかろうとする。

すると先生が来て先輩達を止めた。

先輩達は「ちっ」と舌打ちをして体育館から出ていった。

もしかしたら瀬戸口くんって人見知りなだけで優しい人なのかも...。

「せ、瀬戸口くんありがとう...!!」

「絡まれてんじゃねーよ、めんどくさい」

うっ...。やっぱり怖い...!!

私は下を向きながら歩いていった。

私...この人と仲良くなれるの...?

入学早々不安だよ...。

「第31回入学式を開会します」

私の高校生活は幕を開いた...__