「ばいば〜い」

「後で電話かけるね!!」

花恋と家の前で別れて家に入った。

家に入るとすぐにベッドに倒れた。

わ〜〜…!!どうしよう〜〜!!

抑えていたものが全部溢れてきてしまった。

瀬戸口くんとご飯を一緒に食べたこと、自分の作ったご飯を美味しいと言ってくれたこと、全てが嬉しくてニヤケも胸の鼓動も止まらない。

あ、電話かけなきゃ…!!

何も考えないようにと心に念じながらブレザーのポケットから携帯を出した。

「花恋…は…」

連絡先に花恋の名前を探す。

"瀬戸口蒼生"

その名前を見た瞬間胸が飛び跳ねるような衝撃を感じた。

頬に熱が集まっているのがわかる。

見ない…見ない…!!

やっとのことで花恋を見つけて通話ボタンを押した。

プルルル…プルルル…プル

「はい!!」

耳元からはいつもの元気な花恋の声。

「あ…!!花恋今平気?」

「もちろん!!待ってたよ〜!!」

「あの…すごく長くなっちゃうんだけど…」

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

「え〜そんなことがあったの〜!!」

私は全部花恋に話した。

酔っ払いの人から助けてもらったこと、連絡先を交換したこと、お弁当をこれからずっと作ってくること…なにからなにまで話した。

「そ、それでね、今日私おかしくて…!!」

「何が?」

声だけでもわかる花恋のきょとんとした声。

「なんか…瀬戸口くんの笑顔見ると心臓が跳ねておかしくなっちゃいそうで、でも声聞いたり目合ったりするとなんか落ち着いてっ」

「ふふっ…ははっあはは」

花恋は一生懸命伝えている私を笑っているみたいだった。

「ひ、ひどいよっ…私真剣に…っ!!」

「ごめんごめん」

花恋は笑いを堪えながらそう言うと続けてまた言った。

「ゆず…それはさ、恋なんじゃない?」

「え…?」

恋!!!????頭が混乱している私に花恋は気づいたのかまた笑った。

「こ、恋って私が瀬戸口くんのことを「好きってこと」

食い気味で花恋は私の言葉にかぶせてきた。

「で、でもまだ出会ったばっかだしそんなすぐ好きになるわけないよ…!!」

「恋に時間は関係ないよ」

花恋は明るくでもどこか悲しそうにそう言った。

「花恋…」

「ゆずはさ、瀬戸口が他の女の子にばっか笑ってたらどう思う?」

瀬戸口くんがほかの女の子に…?

私がドキドキしてたまらないあの笑顔を?

「それは…嫌だ」

「瀬戸口がもしゆずの彼氏になってくれたら?」

彼氏…って一緒にいろんなところに2人で行ったり、おうちで映画を見たり…。

『ゆず、好きだよ』

「…!?」

頭の中で想像したらなにかが爆発して顔がすごく熱くなってきた。

「ふふっそういう事だよ!!それが恋なの」

花恋は優しくそう言うと「ついにゆずもか〜」と喜んでいた。

私…好きなんだ…。

瀬戸口くんに…恋、してるんだ…。