私が眠気でボケっとしていたと勘違いされたらしく、可笑しそうに笑っていた。
「あ、そーだ。ごめん、消しゴム貸してくれない?今どっかに落としちゃって」
「あ、2つあるからコレあげるよ」
「え、いいの?サンキュ、花宮ちゃん」
どうやら前田くんが話しかけてきた理由は、消しゴムがなかったかららしい。
ちょうど2つ消しゴムを持っていた私は、ひとつを前田くんに渡した。
「お礼に、寝てたら起こしてやるよ」
「ね、寝ないもん…!」
ハハッと笑う前田くんと、ムキになる私。
この席替えで初めて喋ったけど、前田くんはいい人だ。



