「早苗さん。私、何も感じないよ。もっと重いと思ってたのに意外と軽いなって思ったくらい」
どうやら私には、蒼くんへのこの願いを叶える力がないらしい。
なんだかしょんぼりとしてしまって、とりあえず石を灯籠に戻した私に、早苗が笑みを浮かべた。
「よかったね、栞里」
「え?」
何故か祝福までされて、私の頭はさらにちんぷんかんぷん。
「おもかる石はね、願いが叶うかを占うの。石が重いと思えばその願いは時間がかかるけど、軽いと思ったら早くに叶うんだって」
だから、軽いと思った私の願いは叶うんだと。
早苗がそう教えてくれた時には、私の視線は完全に蒼くんに向いていた。



