蒼くんは後ろから大原くんと一緒に歩いてきていて、私を助けようとはしてくれない。
それどころか、チラッと後ろを見るとどこか不機嫌で。
「花宮ちゃんって、なんでそんなに体力あんの?」
「……ん?ごめん、聞いてなかった」
つい蒼くんを気にしてしまって、坂口くんからの言葉を聞き逃してしまった。
もう一度聞き返して、その質問に答える。
「運動だけは得意だから」
「あぁ。そういえば体育祭でも活躍してたもんねー」
「花宮ちゃんちっちゃいのに」と、坂口くんは私の頭をポンポンと撫でる。
「もう。ちっちゃいは余計でしょ?」
ムッとしてあっかんべーをお見舞いしてやれば、何故か坂口くんは視線を逸らして口元を隠した。



