「彼氏さんも良かったら抱っこしてみませんか?」
近くにいたスタッフのお姉さんが、そう声をかけてきた。
か、彼氏さん…。
その慣れない言葉がくすぐったくて、恥ずかしくて、照れてしまう。
「何照れてるの?」
スタッフのお姉さんが連れてきてくれた黒いウサギを抱いた蒼くんが、私の顔を覗き込んだ。
「だ、だって…」
「事実でしょ?栞里の彼氏だよ、俺」
私が照れてるのを分かって言っているあたり、本当に蒼くんはずるいと思う。
「だから栞里は、俺の可愛い彼女。わかる?」
「かわ…っ!?」
「可愛いよ、栞里は」
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