あぁ、泣きそうだ。
こんなみんなの前で、そんな大切な宣言をされてしまったら。
─────グイッ
急に、手首を掴まれた。
「俺の大事な人、本当にわかってんの?」
「…え、だって、そんなの」
溢れそうな涙を拭いたいのに、その手は和泉くんによって阻まれてしまっている。
「……あの、あたし達、帰るね…?」
そんな中、いつの間にか部屋の隅に寄っていた早苗と大原くんが、そう言って遠慮しながら部屋を出て行ってしまった。
「ほら、ワンコくんも行くよ!」
「は?なんで僕まで…っ」
「いいから!!」
挙句に慎くんまで出て行ってしまって、余計に気まずい空気が流れる。



